プラダによる注目のバナナシャツ、その歴史は?
「プラダ(Prada)」によるハーフアンドハーフパターンのプリントボーリングシャツは、今夏の熱い話題となった。『032c』のファッションディレクター「マーク・ゴーリング(Marc Goehring)」や「グッド・ミュージック(G.O.O.D. Music)」所属の人気ラッパー「プシャ・T(Pusha-T)」、または映画『ジュラシック・パーク(Jurassic Park)』でお馴染みの「ジェフ・ゴールドブラム(Jeff Goldblum)」など、有名人たちが次々とこのTシャツを着用して、ファッションウィークやテレビ番組に姿を見せた。
1,790USドル(約19万7千円)の値段に設定された同Tシャツに対し、消費者の意見は分かれるだろうが、このTシャツの背後にあるデザインの歴史や「プラダ」の工夫を見てみよう。
「プラダ」バナナプリントの誕生は、同ブランドのチーフデザイナー「ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)」による2011年春夏のコレクション発表(2010年9月にミラノで行われた)に遡る。当時のコレクションには、Tシャツやスカート、ドレスなどのアイテムに、ストライプやモンキー、バナナのトロピカルなパターンがプリントされた。ランウェイの最後に、ミウッチャ本人もバナナのイヤリングをつけて登場した。
同じ年に、同コレクションのアイテムは色々な雑誌にフィーチャーされ、『トップショップ(Topshop)』、『エイソス(ASOS)』、『ハーヴェイ・ニコルズ(Harvey Nichols)』など、数多くのショップを巻き込み、バナナプリントのトレンドを起こした。『ファーフェッチ(Farfetch)』スタイル&クリエイティブ部門のヴァイスプレジデントである「ヤスミン・シーウェル(Yasmin Sewell)」が同コレクションに対し、“ファッション業界の歴史に残る数少ないショーになるのだ”と述べた。
「プラダ」が今、ソーシャルメディアにおいての顧客を意識し、過去のデザインや商品を掘り出し、ブランドの歴史をトリビュートする工夫が見られる。バナナプリントはその良い例なのだ。2018年上半期決算の増収増益を果たした「プラダ」の成長に対し、会長の「カルロ・マッツィ(Carlo Mazzi)」が“「プラダ」はブランドのルーツを大切にしながら、時代の迅速の変化に適応し、新しい世代のニーズを応える”と『ブルームバーグ(Bloomberg)』の取材で話した。
2018年の夏に注目されている「プラダ」のバナナシャツは、新しい時代の産物であるオンライン上の話題性を活用し、ブランドの歴史をトリビュートするトレンドのシンボルとも言えるだろう。
- Source: Bloomberg